みなさんこんにちは。
大阪市・越谷市のウェブ制作会社エンジョイワークスです。
さて、これだけ市民権を得たように思われるアニメですが、
やっぱり未だに「所詮はアニメでしょ…?」という固定観念が、
多くの人の心の底には根強く残っているのではないでしょうか。
でもね、私おもうんです。
アニメにこそ、現実世界を浮かび上がらせる力があるんじゃないかって。
毎年寒くなってくると必ず観たくなる『機動警察パトレイバー 2 the Movie』には、
そうした力が凝縮されている気がしてなりません。
パトレイバーって何だろなー?
最新作は2016年の『機動警察パトレイバー REBOOT』。『ヱヴァ』のスタジオカラーが制作
『機動警察パトレイバー』は、80年代末から90年代始めを中心に、
制作チーム「ヘッドギア」が発表した一連のコンテンツシリーズです。
なぜ「アニメ」や「漫画」と言い切れないのかというと、どちらも存在するから。
さらにはオリジナルのゲームソフトも発売されるなど、
当時の言葉でいえば「マルチメディア」な展開が特徴的です。
(同じく多様なコンテンツを展開する『攻殻(略称)』とか『エヴァ(略称)』に近いものを感じます)
舞台は、2000年前後の“もう一つの”東京。
本来は労働用の有人ロボットである「レイバー」が普及し、
それにともなう犯罪に立ち向かうため結成された警視庁の「特車二課」が、
迫りくるさまざまな脅威に立ち向かったり、
なんとか立ち回ったり、翻弄されるだけに終わったりするお話です。
私はこれまで劇場版と漫画だけ消化しましたが、
空想上の物語でありながら、なんとも言えないリアリティが癖になります。
漫画やアニメで描かれる人物や世界が、まるで実際に存在しているかのような。
画面や紙面の向こうに、確かにもう一つの日本、東京があるのです。
『機動警察パトレイバー 2 the Movie』とは
しまった・・・オタク口調で早口にまくし立ててしまいました。
ここからなるべく端的に進めます!
音楽は、押井守監督の盟友・川井憲次氏が担当。「このサントラに90年代の空気感が詰まってる」という感想も
『機動警察パトレイバー 2 the Movie』は、1993年に公開された映画版のパトレイバーです。
「2」とあるのは「1」があるからですが、ストーリーのつながりはありません。
有名な話として、この作品はドラマ『踊る大捜査線』に多大な影響を与えています。
(制作者ご本人のお墨付き)
逆にいえば、『踊る大捜査線』を楽しめる方なら、
意外とすんなり鑑賞できるのではないでしょうか。
(キャラクターに詳しくなくても内容を楽しめるという意味で)
文字数の関係もあるので、ダラダラとした説明は抜きに、
劇中のシーンを見ていただいたほうが空気感が伝わると思います。
パトレイバーファンはもちろん、国内外のアニメファンのあいだで
未だに語り継がれる名シーンの数々をご覧にいれましょう。
※見出しはすべて、該当するシーンで流れる曲名
切れ味スルドい台詞と映像美で織りなされる群像劇
名シーンその① “Unnatural City I”
爆撃で分断された横浜ベイブリッジを見上げながら、
東京湾で対話する後藤隊長と陸幕調査部別室の荒川(CV・竹中直人)。
荒川の訥々とした語り口が、現代日本の“幸せ”の実態を観客に問う。
「不正義の平和だろうと、正義の戦争より、よほどマシだ」
「この街では誰もが神様みたいなもんさ(中略)何一つしない神様だ」
・・・繰り返しますが、本作品の公開は1993年です。
名シーンその② “Wyvern”
元自衛隊員のテロリスト柘植行人の組織がシステムをハッキングし、
“幻の爆撃”を仕掛ける一部始終。
感動するシーンでもないのに、なぜこうも身体が熱くなるんでしょう。
特に、ベイルアウト・撃墜された瞬間は、なぜか涙出そう・・・。
ちなみに、動画の音声は劇場公開版です。
本物の管制官ら(=声優としては素人)をあえて起用しリアリティーを高めたのです。
その後、本職の声優さんによるリニューアルが行なわれましたが、
オリジナルならではの緊張感は特筆モノだと思います。
「それと・・・長官に、緊急連絡だ」
「ワイバーンが、消えた・・・」
名シーンその③ “Unnatural City II”
事態悪化の責任を警察に押し付け、自衛隊に治安出動を要請した政府。
一夜明けた東京は、日常の風景に自衛隊員が偏在する、非日常な風景になっていた。
このシーンでは抽出したい台詞がありません。
なぜなら、映像ですべてを語っているからです。
名シーンその④ “Outbreak”
柘植による仮想的な戦争が、現実のものとなってしまうなか、
この期に及んでも権力闘争と責任転嫁を繰り返す上層部に対し、
南雲警部補と後藤隊長は決別を選択。
「ご自分の胸に訊かれてはいかがですか?」
「だから!!遅すぎたと言っているんだ!」
後者の台詞(7:38~)は、『踊る大捜査線』で有名な
「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」
の下地になったといわれています。
“虚構”だからこそ、暴ける“現実”がある。
コンサートバージョンのTheme of PATLABOR2。MVP級のタンバリンと、川井憲次氏自ら爪弾くギターは必聴
以上のシーンだけですと、社会派映画のように見受けられますが、
そうした周囲の状況は舞台装置に過ぎません。
本編のテーマは“一人の女をめぐる二人の男の邂逅”であるといえます。
世の中を生きる人びとに、社会の虚構性を提示しつつ、
エンターテインメントとしてヒューマンドラマを描ききる。
本作こそが、押井守監督の真骨頂のような気がしてなりません。
2019年もお読みいただきありがとうございました!
今回は特に長くなってしまいましたが、本記事が2019年最後の投稿となります。
今年もたくさんの記事をお読みいただけましたこと、心より御礼申し上げます!
年明けは1月6日から更新を再開いたします。
来年も美容・映画・ガジェット・ヲタ活…と、幅広いジャンルで話題を提供してまいります。
それではみなさま、
よきオリンピック・ニューイヤーをお迎えください!!