みなさんこんにちは!
大阪市の本社でウェブライティングという名の詰将棋に日々格闘!
株式会社エンジョイワークス所属、ライター2号です。
さて今回の「エンジョイ将棋道場」は、対局における心構えのお話。
ですので普段から対局を楽しんでいらっしゃる方や、
これから対局に挑戦するかも…っていう方が対象になります。
「アマチュアは敗者を決めるためのゲーム」??
ちょっと前のことなんですが、別件でネットサーフィンをしていたら、
投資方面で有名っぽい外国の人の名言みたいなのを見つけたんですね。
で、その名言なんですけど、
「プロは勝者を決めるためにゲームをするが、
アマチュアは敗者を決めるためのゲームをすべきである」
的な意味のフレーズだったのです。
曰く、プロは基礎を確立させたうえで、いかに相手を出し抜くかという高度な駆け引きが必要なのに対し、
アマチュアではまずリスクを抑え、手堅く負けにくい戦略を立てて地道に歩むべし、という意味だそうで。
私、これを知ったときにキュピーンきたといいますか。
将棋を指していると、勝てなくなる時期や楽しくない時期がやってくるのですが、
大体の理由は気に入った戦法のゴリ押しなんですよ。
これってたぶん「勝者になろうとしすぎ」な状態じゃないかと。
「試してみたら何回かうまくいった」
「この戦法は勝てるはずだ」
「このままもっと勝ちたい」
………という意識で勝ちは積み上がらないですし、楽しみも得られません。
遠回りにみえて近道。自玉を遠ざけよ!!
「敗者を決めるゲーム」と聞くと後ろ向きで面白くなさそうに思われるかもしれませんが、
相手の出方をしっかりと受け止めて、どうするのが負けなくて済むのかを考えながら指す。
そのほうが特定の戦法に固執するよりよっぽどクリエイティブで、
かつ負けを少なく=勝ちを多くすることができるのではないでしょうか。
では具体的に、将棋における「負けないような指し方」とは何でしょうか。
話は単純です。自玉を安全にすればよいのです。
そのための一番簡単な方法は、相手の飛車と反対方向に自玉を動かすというもの。
相手が居飛車ならば右側に、振り飛車ならば左側に寄せて、金や銀で囲いを築けば、
致命的なポカを犯さないかぎりはいい勝負ができるはずです。
この方針をとるとき、自分の飛車は逆に相手の飛車に近づく格好になりますよね。
(自分の玉と飛車は離すこと、というのがセオリーですので)
そのような指し方を、「対抗形志向」と呼びます。
私も一時期は対抗形厨として活動し、上級者にもけっこう安心して指せた記憶があります。
ただ、この対抗形志向には一つジレンマがあるんですよね。
何かと申しますと…「自分の好きに指すことができない」。
常に相手の飛車先を意識しながら、それに合わせて形を変えなければならないので、
いつも振り回されるといいますか、基本受け身といいますか。
また対抗形で相手の飛車先を抑えつつ自分の飛車先を通すことはけっこう難儀です。
さらに居飛車・振り飛車両方の戦法や囲い方を学ぶ必要がでてきますので、
それなりに幅広い知識も求められてまいります。うん、面白くはない。
囲いだけ気にすれば、居飛車党/振り飛車党にこだわれる!!
対抗形ほど自玉を戦地から遠ざけることはできなくとも、
自分の個性を活かしつつ負けにくくする工夫をすることは可能です。
飛車ではなく、囲いで対抗すればよいのです。
将棋にはさまざまな種類の囲いが存在しており、それぞれに
「横からの攻めに強い」「縦からの攻めに強い」「手数は多いが絶対的に硬い」
といった特長をもっています。
たとえばあなたが「居飛車党を貫きたい!」としますよね。
飛車の攻め方は、あなたが得意な戦法をどんどん磨いていけば大丈夫。
一方の自玉では…
相手が居飛車=縦からの攻めであれば、上部が厚い「矢倉囲い」、
双方居飛車=どちらも縦から攻めようとするため、必然的に相矢倉戦が多くなる。
振り飛車で横からの攻めが予想されるなら、「舟囲い」や「左美濃」。
少ない手数で、案外丈夫な舟囲い。左銀を活用しやすいのもポイント。
たったそれだけの工夫で、これまでイチかバチかだった対局は、
負けにくく、かつ個性も発揮できるものへと様変わりします。
ちなみに掲載した2つの局面で注目いただきたいのは、
上側の相手よりも下側の自分のほうが先に囲いを完成できているという点ですね。
(先手というのもありますが、実質アドバンテージは飛車先の歩1マス分のみです)
なぜかというと、それは相手が「勝者になるための将棋」を、
こちらが「敗者にならないための将棋」を志向しているからです。
相手が攻めの知識に富み、ここから好手を連発すれば突破されるかもしれませんが、
現時点での各自玉の安全度には大きな開きが生まれています。
もちろん自分のほうがかなり有利に局面を進められるとみていいでしょう。
「負けない将棋」を目指すことの効用をおわかりいただけるかと思います。
何度でも繰り返そう。自分が楽しいのが一番大事!!
もちろん「俺は◯◯戦法でてっぺんとったんで!」とか
「指したい戦法なんて特にないからおまかせ対抗形で~~~」といった
方針をおもちの方も、大いに結構!!
それらの中間に位置するのが、今回ご紹介した
「囲いだけは負けにくく」スタイルではないでしょうか。
とはいえ、なんだかんだで、やっぱり勝負ですから勝たなきゃ続きません。
しかし安定的に勝てるチャンスを増やすためには、まず負けないための努力が先かも、
という今回のお話でした。
「対局の楽しさ」や「痺れる緊張感」といった、将棋でしか得られない楽しみを、
ぜひ多くの方々に末永く味わっていただきたいと思います!!