みなさんごきげんよう。
大阪市・越谷市のWEB制作会社エンジョイワークスの将棋道場主宰、JTです。
“貴族”佐藤天彦名人に“昇る落日”羽生善治二冠が挑む名人戦も
そろそろクライマックスを迎える今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
さて前回は、飛車の位置によって戦術が大きく分かれるという話をいたしましたが、
むしろ先にこのことをお伝えしなければならなかったかもしれません。
何かと申しますと、「初手に何を指したらいいの?」問題であります。
将棋というゲームは、交互に手番がわたって一手ずつ指していくゲームです。
基本的にパスは許されず、自分の番では必ず何かの駒を動かさなくてはならない。
とはいえ盤上の駒の動かし方は、初期配置でも31通り存在しています。
特に対局開始直後の第一手をどうしたらよいのか、
これは将棋を始めたいという方にとってまず立ちはだかるハードルでしょう。
しかし、アマチュアからプロに至るまで、初手の選択肢はおおよそ2つしかありません。
もちろんそれぞれ理由がありますので、以下解説したいと思います。
初手その① 先手2六歩/後手8四歩
一つ目の指し手は、飛車先の歩を前進させる初手。
将棋において攻撃の要となるのは飛車と角になりますので、
これらの大駒がはたらきやすいように進めていくと、攻撃が成立しやすくなります。
そこでこの「先手2六歩/後手8四歩」のねらいとは、
飛車のはたらき(=利き)を伸ばしていくことにあります。
一発でスカーン!と飛車先を通す…わけにはいかないのですが、
一歩ずつ、じっくりと歩兵を進めていく展開を目指します。
当然ながら、初期位置の飛車を活かした「居飛車」の場合に
セオリーとなる指し手です。
その後の展開としては、進めた歩を盾に銀を連動させてぶち破る
「棒銀」という戦法がオーソドックスと言えるでしょうか。
初手その② 先手7六歩/後手3四歩
もう一つの選択肢がこちらの「先手7六歩/後手3四歩」。
先ほどは、飛車と角の2大大駒のうち飛車を活かすためのものでした。
なのでこちらの指し手は角を活かすためのものとなります。
そして①との大きな違いは、この一手で
角道が相手陣までスカーン!と通ることです。
対角線上の歩には相手の角と桂馬が利いていますし、
もし後手で相手も先に開けていても、
向こうの角にも銀と飛車が利いているので大きな得はありませんが、
たった一手で相手陣の駒組みを制約できるというのはメリットですね。
また「振り飛車」のセオリーであるのはもちろん、
「居飛車」でもしっかりと意味をもたせられるので、お得感が高いです。
ただし、こちらの角道が通るということは、
相手からも角道が通りやすいということですので、
「角交換」や「横歩取り」などより本格的(=複雑)な展開に進む可能性があります。
初手その③ 先手5六歩/後手5四歩
さて「初手の選択肢は2つしかない」ということで書き進めていた矢先、
まさに今、もうひとつの選択肢があることに気づいてしまいました。
こういう「読み切ったと思ったら抜けていた」ことによる失敗は、
対局でも気をつけたいものですねぇ。。。
失礼、話の続きです。うっかりしていた3つ目の選択肢とは、
「先手5六歩/後手5四歩」であります。
将棋盤は通常9筋×9列のマス目が引かれています。
つまり5筋…ということは真ん中の歩兵を前に進めるということです。
この一手、もし私が指される側ですとおそらくこう判断するでしょう。
「中飛車か~どうしよっかな~~~( - -;)」
そう、この真ん中の歩兵を突き出す一手は大抵
「中飛車」という戦法の布石に用いられます。
中飛車とは読んで字のごとく、飛車を真ん中に振って指し進める戦法で、
初心者の方に人気が高いです。
相手の出方に関係なく自分の慣れた展開に持ち込みやすいため、
覚えることが少なくて済むというわけですね。
だからこそその場その場の雰囲気で自由に指し合いたい私としては、
相手の土俵で相撲を取らなければならなくなるため苦虫感がありますが、
そこはそれ、自分の得意戦法で勝負するという姿勢はまったくの正攻法。
ガンガン「ゴキゲン中飛車」でゴリ押ししていただいて全然オッケーです。
…私は困りますが。
結論:初心者相手には「先手7六歩/後手3四歩」が有効!(?)
以上、将棋の最初に何を指すか?について、2通り…いえ、
3通りに分けて説明してまいりました。
相手も初心者の場合、効果的なのは「角道を開ける先手7六歩/後手3四歩」
に思いますが、では相手も真似して開けあった場合にどうするのか?
という問題が生まれてきます。そのあたりでもし不安感があれば、
無難にゆっくりと進行する「先手2六歩/後手8四歩」が安全かもしれません。
ところで、将棋は攻めるだけではいつか限界がやってきます。
確実に勝利をモノにしていくためには、
わかります、たのしくないです、できればやりたくない、しかしそれでも、
受け=防御のこともカバーしていかなくてはなりません。
ただ、中でも「囲い」の意味や基礎だけでも知っておけば、
あなたの職場での勝率はググンとアップするはずです。
ということで、次回は将棋における「囲い」について、
ご説明したいと考えております。
それではまた盤上でお会いしましょう。
ありがとうございました<(_ _)>