みなさんこんにちは!
大阪市・越谷市のウェブ制作会社エンジョイワークスです。
去る9月26日、将棋界で新たな記録が誕生しました。
木村一基九段(46)が豊島将之二冠から王位のタイトルを奪取。
初タイトルの年長記録を10年近く伸ばしたのです。
最強の相手として立ちはだかった豊島名人
木村新王位は羽生九段と同世代で、誰しもが認める実力者でありながら、
2005年以来タイトル挑戦を7度おこなうも獲得ならず(こちらも最多記録)、
「無冠の帝王」という喜べない称号を欲しくないままにしていました。
今回挑戦した豊島将之名人は、現時点で最も強い
とみなされることも多い強豪中の強豪です。
実は豊島名人も「無冠の帝王」の称号を保持していたのですが、
2018年に棋聖・王位を獲得し二冠を達成したのは以前ご紹介したとおり↓
<【後編】“序盤、中盤、終盤、隙がない”だけじゃない! 豊島将之二冠の魅力>
さらには、棋界の二大タイトルである名人にも就位し、
「藤井くんに脂がのるまでは豊島時代か」なんて声も聞かれるほどです。
木村新王位は今回の挑戦に加えて、
別のタイトル戦でも豊島名人との連戦が組まれていた関係で、
最長で炎の十番勝負が実現するかもしれないとされていたのですが、、、
さすがは2018年度の順位戦で直前まで首位だったものの最後に負けてしまい
前代未聞の6者プレーオフを実現させてしまった豊島さん。
豊島?強いよね(強すぎる)
【ニコ生(2018-03-18 10:00開始)】【将棋】第76期A級順位戦プレーオフ第4局 羽生善治竜王 vs 豊島将之八段https://t.co/D2Kgf6nOcO pic.twitter.com/rbPrWoAAuq
— ぬぬ (@Nunu_MineCraft) 2018年3月17日
地獄の6者プレーオフでは羽生竜王(当時)に敗北し挑戦を逃す。
しかし翌年は堂々首位でリーグを突破し、名人のタイトルを奪取!
「将棋の神様に愛されすぎ(過酷な意味で)」な本領が炸裂し、
本当に十番勝負が実現してしまったのです。
豊島木村十番勝負途中経過!本当に十番勝負!次戦は25日(水)からの王位戦!都市センターホテル!振り駒はどうなるか!?王①[歩5]、竜①[と金3]、竜③[歩3]と来ているので[と金]が少なくとも5枚、もしくはそれ以上出てもおかしくないです pic.twitter.com/WCzBMeOjKT
— あんかけ (@ankakekakna) 2019年9月10日
十番勝負、九戦目までの勝敗表は、木村九段の4勝5敗。
一回り以上年下のトップ棋士を相手に互角な勝負、すでに快挙。
後手番、対「先手角換わり」、圧倒的な時間差。みんな“初防衛”を覚悟した。
フルセットで迎えた王位戦・第七局。
将棋ファンが固唾をのんで見守った振り駒(先手か後手かを決める方法)の結果、
豊島二冠が先手、木村九段は後手に決まります。
将棋では一般的に、先手のほうが若干有利であるとされており、
この時点で多くの木村九段ファンがガックリしました。
そして、豊島二冠が選んだ戦法は今期ほとんど負けがない「先手角換わり」で、
タイムラインでは始まったばかりにも関わらずお通夜のような雰囲気に。
さらに悪条件は重なります。
本タイトル戦は二日制で、一人あたり8時間の持ち時間がありますが、
一手一手熟考を重ねる木村九段に対し、豊島二冠、ノータイムでスパスパ指していきます。
これは、さすがにその場で天才的な計算能力を発揮し読み切っているわけではなく、
豊島二冠にとって「事前の研究範囲ですよ」ということを意味するわけです。
王位戦観戦中。形勢は互角だけど持ち時間の差が・・・。豊島研究恐るべし。#王位戦
— rakudon (@rakudon7) 2019年9月25日
69手目の時点で、豊島二冠は7時間、木村九段は4時間と、
3時間もの時間差が発生し、このまま豊島二冠が横綱相撲で進んでしまうだろう…
という見方が観戦者の大勢を占めていました。
ところが。ここで、木村九段が勝負の一手に踏み切ります。
70手目、☖5一飛。
検討陣からは候補に上がっていなかった、ややリスキーな一手。
あまり得をしていなさそうながらも、豊島二冠、手が止まります。
(おそらくここで、研究から大きく外れたということでしょう)
ここから主導権は木村九段に移り、二日目の75手目には、
とうとう残り時間が逆転したのです。
流れを完全に手繰り寄せた木村九段は、そのまま盤石な差し回しをみせ、
その瞬間がとうとうやってきました。
2019年(令和元年)9月26日 18時44分
木村新王位、誕生。
初タイトル獲得の最年長記録を大幅更新(46歳3ヶ月)。
インタビューで家族のことを聞かれ、まんまと泣かされてしまう木村王位に、
長年の“おじおじ”(木村王位の愛称)ファンも涙腺結界する方が続出。
この日のために有給をとった方も少なくないようで、一体感のある祝杯ムードに包まれました。
終局後、木村新王位はシリーズ全体について「うまく指すことができました。(最年長記録は)うれしいです、はい」と目を潤ませながら答えていました。豊島王位は「最後の2局は長考して悪い手を指してしまいました。実力不足で仕方がないです」と振り返りました。 pic.twitter.com/xMBXvMqujU
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) 2019年9月26日
感想戦のあとの囲み取材。いつも支えてくれた家族のことを記事から聞かれ、思わず目頭を押さえる木村一基新王位 pic.twitter.com/sU5DuBBwsh
— 将棋世界 (@shogi_sekai) 2019年9月26日
最後に、木村一基王位のご紹介を。
豊島名人(王位を失冠したため、現在は名人のみの一冠)について多く書きながら、
肝心の木村新王位のご紹介が少なかったので、以下補足します。
木村王位の特長は、「千駄ヶ谷の受け師」とも称される強靭な防御力です。
相手からの猛攻をあらゆる手を尽くして(場合によっては玉を使ってまでして)
防ぎきり、攻め疲れを誘ってチャンスを待つ棋風は、
並大抵の辛抱強さでは続けられないだろうことは想像に難くありません。
そして、将棋ファンでなくとも引き込まれる軽妙なおじさんトークも大きな魅力です。
“百折不撓”(百回折れても決してくじけない)をまさに体現し、
将棋界の歴史に名を残した木村王位。
これからのご活躍が、俄然楽しみです!!!!