今日は何曜日!?
はなきんや!!!
平日お勤めのみなさま1週間お疲れ様でした!
仕事をしてると1週間て早いですよねぇ。
逆に、仕事が比較的空いているときは時間が経つのが非常に遅く感じません?
時計を見て、次に時計を見たときに、
「あれ?まだこれだけしか時間経ってないの?」
という感覚は誰もが味わったことがあるんじゃないでしょうか。
それはもう「秒速5センチメートルのような桜の花びらが舞い落ちるような速度」のような速度。
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今週取り上げるのは新海誠監督作品「秒速5センチメートル」。
先に花金おじさんのイイワケをさせていただきたい。
今週は本当にネタに困った!!(笑)
ギリギリまでネタの選定に困ってさまざまな候補の中でこの「秒速5センチメートル」はできることなら避けたかった。
なぜか?
有名すぎる作品だから。
知らない人はいないんじゃないか?と個人的に思う作品について筆をとるのは非常に手が重く、墨の載り具合や筆の進み具合がとても鈍い。
同じオフィスで働く社員数人に聞いても「見たことがある」「知っている」との声が多く、記事候補から外そうと考えました。
では、なぜこの作品に対して筆をとったのか?
同じくブログを担当されているIさんに「いいんじゃない?」と背中をおされたから。
この作品のレビューと紹介は非常に難しかった(笑)
例えば、不朽の名作である「美女と野獣」「シンデレラ」「白雪姫」といった一般常識とイコールな名作をあなただったらどう説明するか?紹介してオススメするか?
秒速5センチメートルを知らない・見たことのない人にはもちろん、
「知ってるよ」
という方にも「もう一度見ようかな」と思わせるような、そんなレビューを私は書きたい。
「誰もが知っているであろうレビュー難度の高い作品だからこそ挑む価値があるのだ」と自分に言い聞かせ、筆を走らせます。
「秒速5センチメートル」レビュー
秒速5センチメートルは世界的大ヒット作「君の名は。」を世に送り出した新海誠監督が2007年3月に公開したアニメーション作品。
君の名は。の先輩作品に当たる本作品では、新海誠ならではの風景描写が光る。
特に新海節である空の描写が素晴らしく、アニメーションであるのに、いや、アニメーションであるからこそ描ける現実世界の空以上の描写の美しさに目が奪われてしまう。
そんな繊細な風景描写の世界で秒速5センチメートルはシーンを「桜花抄(おうかしょう)」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3部構成に分けストーリーを進める。
キャッチコピーである「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」をテーゼとした主人公の半生を描いた本作品。
小学生の篠原 明里(しのはら あかり)が主人公である少年、遠野貴樹(とおのたかき)に、桜が咲き誇る通学路で「桜の花びらが舞い落ちる速さ」を話すシーンから物語は始まる。
問答を繰り返しながら通学中の二人。
ふと、急に走り出した明里。
それを追いかける貴樹。
明里は線路を渡り切ったところで立ち止まり、踏切にはばまれた貴樹は線路の手前で立ち止まる。
「来年も一緒に桜見れるといいね」
あえて。
ネタバレが嫌いな私があえてネタバレをするとしたならば、
「この1シーンに、秒速5センチメートルがつまっている。」
と表現する。
それ以上は言わない。
上記のシーン、明里が二人の未来を望むセリフを貴樹に発した後、天門が奏でるピアノに乗せて第1章「桜花抄(おうかしょう)」の幕があがる。
互いが好きな二人は幼いながらも人生を共に歩んでいこうと考えているが、そんな矢先、明里が転校し離れ離れになることがわかってしまう。
その事実を受け入れなければいけない少年、貴樹の葛藤と言動。
「もう一度好きな人に会いたい。」
ただ、それだけのために必死で追いかける少年・少女の半生に自分の人生を重ねる人は多いだろう。
主人公達が小学生時代の「桜花抄(おうかしょう)」。
「コスモナウト」は遠くを見つめ続ける貴樹の高校生時代を別の視点から描き、
社会人となった貴樹達が得る大人(つまり、“現実的”)な感覚で締めくくる「秒速5センチメートル」。
それぞれに恋する存在がいて、それぞれに想い・事情があり、それぞれに距離がある。
愛する人に近づくための速度や距離の遅さ・遠さ、切なさと儚さがこれほどまでに描かれたアニメーション作品は当時では存在せず、現在以降も登場しないだろうししてほしくない。
新海誠が描いたストーリーと描写、それに情緒を与える天門のピアノ、「秒速5センチメートル」というタイトルを“音楽化”した山崎まさよしの「One more time, One more chance」が作品を彩る。
秒速5センチメートルを初めて視聴するあなたが事前に「君の名は。」に感銘を受けていたらば、あなたは本作品に別ベクトルの感銘を受ける。
秒速5センチメートルは歯がゆい物語だ。
ラスト、視聴したあなたが「ちょっと待ってくれ」と追いかける立場になるだろう。
万人にオススメできるストーリー・作品ではない。しかし、名作であることに間違いはなく、冒頭の作品らと同じく“目を通しておくべき一般常識”が本作かもしれない。
初めて見る人には“現実に限りなく近い現実”を。
再び見る人には“暖かみがあるのに冷ややかな共感”を。
どちらにせよ“心のどこかに乾いた空洞”を。
それぞれにそれぞれを与えるのが「秒速5センチメートル」。
ちょうど、ある条件(場所や状況)を満たせば自然と聞きたくなるお気に入りの音楽のように、あるときふと見返したくなる本作品。
未だ見たことがない人は「君の名は。」を見て至上の感動を得てから、
既に本作品を視聴済みの方はお気に入りの音楽の“再生ボタン”を押すように、
それぞれお薦めしたい。
どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。
自分の甘酸っぱい過去を重ねながら「秒速5センチメートル」という速度を感じてほしい。