小津安二郎 『晩春』

MOVIE ADDICT

こんにちは!エンジョイワークスです。

本日は古典映画の中からお勧めをご紹介します。

小津安二郎の『晩春』です。

父親と、結婚前の娘との関係を描いたホームドラマです。

父親役は笠智衆、娘役は原節子です。

ちなみに、原節子はこの映画の中では紀子という名前なんですが、

他の小津監督作品『麦秋』・『東京物語』でも同じく紀子という名前の女性を

演じており、この3つの映画を合わせて紀子三部作と呼ばれています。

 

『晩春』の中で、個人的に面白かったのは原節子の毒舌です。

再婚するという親戚のおじさんに、

「奥さんもらったんですってね。なんだか不潔よ。汚らしい!」

とか。

離婚した友人に結婚をすすめられて、
「あんたにそんなこと言う資格ないわよ。出戻り!」

とか。
まぶしい笑顔でマウイイワスナギンチャクばりの強烈な毒を吐くのです。

あ、マウイイワスナギンチャクというのは世界最強の猛毒生物で、

毒の強さは青酸カリの8000倍です。

 

お母さんがいないので、自分が嫁いだらお父さんの世話をする人が

いなくなってしまうと結婚するのを渋る紀子。

このままでは娘が嫁げない!安心させなければと、

再婚することにしたと嘘をつくお父さん。

お父さんに縁談の話があると知ってからの原節子の怖いこと怖いこと。

お父さんと紀子が能を観るシーンで、お父さんの再婚相手(嘘だけど)も

居合わせます。お父さんが再婚相手に会釈した後、紀子はふっと

目線が下がります。誰も台詞をしゃべっていないのに、ここまで雄弁に

紀子の心の揺れを表現できる小津監督のすごさったら!

 

 
私がこの映画の中で一番好きなのはラストシーンです。
紀子が嫁ぐ日。晴れの日なのに流れる音楽は物悲しくて。
娘を送り出した父親が、ひとりリンゴをむく。リンゴの皮は半分まで
剥いたところでハラリと落ちる。それが父親の涙のようでもあり、

父と娘二人だけの関係の終わりを意味するようでもありました。

静かで、心に染み入る小津安二郎監督作品。全部観たくなりました。

 


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